July 24, 2019

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3rd アルバム発表

3rd アルバム発表

アルバム「Email World」リリース!
なんだかんだ言って、歌ものが入ってます。

3rd【Email World】解説 by 原宿陽二

遠く離れた2人が、互いを想いながらしたため合う手紙のやり取りをモチーフとしたアルバム。

今作では、歌・声モノが多くみられるなどポップ路線を装いながらも、より2人のアイデアを混ぜ合わせながら曲を構築してゆく新たな合作手法が試行錯誤され、今後のサウンド制作に大きな影響を与える実験的な指向が色濃いものとなっている。

halcyonはのちに『互いのデッドラインを探り合った結果、テクノタイト像が見えた意義あるアルバム』とも述べている。

  1. Email World - How have you been
    “Origin"版から派生したRemix版。
    音源に留まらず音響面や編集面でも、以後のテクノタイトサウンド制作手法の確立の足掛かりを築いた曲。

  2. de Gonsu
    テーマは、軽快かつコミカルな紳士。音源には、Korg Gadgetが多用されている。
    曲名は、やり取りの際のコメント語尾に「○○でゴンス」とつけ始めた事から。

  3. INNER MAN
    ノスタルジーさを漂わせるメロディーが印象的な曲。
    曲名は、出先で出会ったTシャツをズボンに入れてる昭和らしいオッサンに惹かれた事による。

  4. Tall Order
    スリリングな疾走感溢れるこの曲では、数小節のモチーフからアイデアを追加し合う中、お互いいつの間にか挑戦を受けているような感覚に陥り、その事が歌詞と曲名にも反映された。

  5. kaguya
    DorayakiTaro発信の曲にhalcyonが歌詞と歌メロをつけ、Voを入れたのちもhalcyonが更にVoメロを改変するなどした曲。
    halcyonはこの曲の完成間近でデータを消失させており、再度作り直している。

  6. Email World - write a letter to you
    シリーズ第3作目。本シリーズでクオンタイズに頼らないグルーヴ感を得意とするDorayakiTaroに対抗して、ジャスト主義のhalcyonは、発音単位でのオーディオスライスやクオンタイズするなどした根性技を体得し、他曲にも活用している。

  7. Procession
    ニューウェイヴテクノと自称している曲。
    halcyonは、この曲で自らがテクノタイトに対して課している禁じ手の一つであるフィールドサンプリングをうっかり使用している事を、DorayakiTaroに秘密にするも即座にバレるが、禁じ手にしている事を知らないために、スルーされた。

  8. AGGRESSOR
    halcyonのモチーフからお互いに音源を追加して制作された。
    音源の多くは、モジュラー系の音をサンプリングし切り貼りしたもの。

  9. Rusty Case
    テクノタイトらしさのひとつは『ダサ過ぎてもカッコ良すぎてもダメ』である。(halcyon談)
    DorayakiTaroのモチーフを土台に、色付けや歌詞はhalcyonが"kaguya"の曲データを損失させた事から着想を得て追加している。

  10. Farout
    halcyon発信のインスト曲を、DorayakiTaroが歌モノに変貌させた曲。
    歌詞は非公開で、内容もDorayakiTaroのみぞ知る。

  11. Email World - Origin
    DorayakiTaro成分95%のシリーズ原曲版。
    この曲のRemix版制作が、以後のテクノタイトにおける制作手法の確立を促した。

Email Worldについて by Dorayaki Taro


2019年7月、私たちテクノタイト.jpは3rdアルバム「eメールワールド」を発表しました。

この活動は、自分たちがいかに楽しむか、という音楽探検のようなものです。
ですが発表しています。発表する理由は、私たちの音楽を知ってほしい、楽しんでほしい、という素直な欲求です。さらに昨今ではいくばくかの値段を自分でつけて販売することが流行っています。というか当然のこととなりました。売れると素直に嬉しいです。

私は子供の頃、影響力のあるミュージシャンの精神の矛盾、ねじれを見抜くことはできませんでした。仮にある人が、君はお金に音楽魂を売ったな、と言ったとしましょう。この人が言う音楽的妥協とは、裏を返せば、ニーズに対応するサービス精神そのもののような気がします。音楽スキルを活用して求められている音楽を提供する。そこに金銭が動く価値が発生する。こう考えると、音楽的妥協=音楽力の活用、と言えなくもありません。

「自分を曲げるな、妥協するな、奴隷になるな。」「ニーズに合わせなさい、喜ばれてこその音楽です。」2つに割れてしまう感じもします。しかしこれは、その人の持っている材料の多さ少なさ、範囲の広さ、狭さ、高さ、深さ、目的、意思に影響されているのではないかと、最近思うようになりました。

例えば、土を深く深く掘っているような人にとって、他の人のためにその穴を広げることは、予期せぬ浸水が起こり死に至る事故になるかもしれません。その場合、強く自分のしていることに集中しなさい、他に目を奪われたら死につながる、と善意から言うかもしれません。
一方、立派なガラスケースに、さまざまな宝石を入れることが大好きという人がいるとすればどうでしょう。当然多くの人に見せたくなります。売りたくもなるでしょう。しばらくすると人通りの多い通りに店を構え、多くの客を招き入れる努力をします。また、しなければなりません。そしてお客の望み、時代の流行を敏感に察して、毎日色とりどりの宝石(音楽)を用意します。

こういった想像を子供の頃の私にはできませんでした。ミュージシャンの一言にとても影響を受けてきました。しかし多くの場合、その言葉の情報源は専門雑誌でした。ただそのミュージシャンが原稿を書いたわけではありませんね、普通。インタビューの記録でも、校正は入ります。またレイアウトして、いろいろと読者が喜びそうな誌面ができていくわけです。これは、事実を材料にはしているのだけれども、私も含めて読者が喜ぶであろう世界が表現されたもので、その時に欲しい味(苦味、甘み等々)だったのです。

そのミュージシャンの言葉なんだと私が強く信じていたものは、加工の加工の加工され販売されている雑誌のコンテンツだったわけです。さらに私が作り上げた感動でもあったんですね。冒頭で書いた「影響力のあるミュージシャンの精神の矛盾、ねじれ」はある意味存在していなかったということになります。私が使った「影響力のあるミュージシャンの精神」という主語が、実際の「影響力のあるミュージシャンの精神」とはイコールで結べないのですから。

ですので、当時の自分のニーズ、年頃、不満感、言い訳、課題等々と、情報源の雑誌編集者の意図などをふくめてもう一度、「これまでの自分の音楽への態度」を理解し直すと、心がとてもすっきりしました。結局「では自分はどうなんだろう?」と、鏡の前に立って向き合うことを十分していなかった、と思い至りました。

ですので今それをしてみると、限りなく曲想が生まれるようになりました。この井戸は枯れることはありません。もし私が作曲できなくなるとすれば、それは私の何かが働かなくなったということで、この井戸が枯れた、ということではないと思います。「私」と「井戸」は違う主語なのですから。

ということで、今回の「eメールワールド」も、私たちの過去の経験、時間、金銭交換で手に入れた音楽機材を最大限に活用して作りました。どうぞお楽しみ下さい!

Email World 収録曲一覧

  1. Email World - How have you been
  2. de Gonsu
  3. INNER MAN
  4. Tall Order
  5. kaguya
  6. Email World - write a letter to you
  7. Procession
  8. AGGRESSOR
  9. Rusty Case
  10. Farout
  11. Email World - Origin

Tall Order

There is no information.
But I believe in myself and you and move forward.
Will you like it?
I’ll be saved only if you like it.
I deliver to you.
Tall order.

情報はありません
しかし私は自分自身とあなたを信じて前進します
あなたはそれを好きですか?
あなたがそれを好きであるだけで私は救済されます
あなたに届ける
難題

kaguya

つきみておもう あなたのおもかげ
ときにそれは まだみぬおぼろげ
かぜをだに こふるはともし
かぜをだに こんとしまたば なにかなげかん
ふとそんなことが よぎるほどに
ふけたこんやは たばねたおくれげ
ゆれるさまが てにとるようにあらわれる
おぼつかな きみしるらめやあしびきの
やましたみずのむすぶこころを
コノボタンオストカナデルオンガク
アナタトツナガルユイイツノシュダン
アナタノボタントワタシノボタン
ハナレタバショカラオンガクカナデル

ときにそれは なにかことなる たがいのつき

AGGRESSOR

It’s not a lie.
Don’t lose sight of it.
You should observe more.
That’s the truth.
Deluded people.
People affected.
You have to judge for yourself.
Before the lie becomes true.
aggressor.

偽りではない
それを見失ってはいけない
より観察してそれが真実
騙される人、影響される人 自分で判断すべき
噓が真実になる前に
侵略者

Rusty Case

I want to rewind time.
Please return it to yesterday at least.
if the world had the ability to rewind like a cassette deck,
I’ll hit the button right now.
Even if it’s an illusion that can’t be fulfilled, I will keep wishing.
The world is continuing to accelerate.

時間を巻き戻したい
せめて昨日へ戻してください
この世がカセットデッキのように巻き戻す機能があったなら
私は今すぐにでもボタンを押すだろう
例えそれが叶わない幻想だとしても、私は願い続ける
世の中は加速し続けている